ドーナツの歌

ドーナツは知っている。 涼のラブ・ソング#4

35歳
WEBデザイナー
好きな偉人:アインシュタイン


♪キミノココロノイエスハナニ

ドーナツ屋さんの

CMソングのワンフレーズだった。

なぜか、心に響いた。

「私のイエス?」

ドーナツの

着ぐるみを着た人が

繰り返し歌う。

♪キミノココロノイエスハ 

ナニ?ナニナニ?

マンナカニアナガアルタベモノ 

ナニ?ナニナニ?

「心の…?」

「真ん中に穴…」

自然の中で過ごすことで

心の渇きを潤すことはできたけど

何をどう

表現すればいいのか

迷いから

抜け出せないでいる。

そんな自分を

見透かされたような

陽気で、

呑気な、

でも真をついたフレーズ。

呆気にとられた。

シリアス過ぎる自分が可笑しかった。

論理的でないことは、

信じない。

目に見えないものは、

信じない。

感情に流され泣くことも、

ない。

心から楽しみ笑うことも、

ない。

そんな自分が

ドーナツの言葉に

動揺している。

ドーナツに

心を奪われている。

ドーナツの

大きく丸い形に

安心感を持っている。

ドーナツの

温かく優しい声に

癒されている。

昔の自分は思っていた。

センスがあって

カッコいい。

最上を目指して

頑張っていた。

エベレストの頂上にでも立ったつもりだった。

でも、

認めたくはないけれど…

それは

小さな、小さな

自分だけの丘の

高すぎる砂の山だった。

一時的な美しさは、

一瞬で壊れてしまう。

一番になりたくて、

一生懸命だった。

一人よがりの強さで、

一人ぼっちに気づく。

それに比べて、

ドーナツはどうだ?

みんなに愛され、

みんなが食べてる。

ドーナツは歌う。

♪キミノココロノイエスハ 

ナニ?ナニナニ?

マンナカニアナガアルタベモノ 

ナニ?ナニナニ?