過去に生きる日々。 麗花のラブ・ソング#1

麗花 57歳
スナック経営
好きな色:赤


18歳で

激しい恋に落ち

親の反対を押し切って結婚した。

初恋だった。

一緒になったのはいいけれど

幸せな

日々は永くは続かなかった。

お互い

世間知らずだったのね。

口喧嘩が絶えず

会話が無くなり

一人で過ごす夜が多くなり

結婚して

半年で夫は出て行ったわ。

なぜ出ていったのかと
一人で泣き叫び、恨んだ。

でも正直なところ

お互いに

相手を思いやる気持ちが

無くなっていたのよね。

相手に求めてばかりいたのかも。

お腹に宿していた

幸せの証しも

私に勇気をくれることはなかった。

独りきりになった私は、
一人で生きていく自信もお金もなかった。

哀しく辛い気持ちで

押し潰されそうでも

弱い自分を

心の奥に無理矢理押し込んで

生きた。

生きれたわ。一人でも。

でも心のどこかで
ずっと思い続けてきたの。

いつかフラッと戻ってきて

また一緒に
仲良く暮らせるんじゃないかと。

私ってバカでしょ。

別れの言葉が無かったのが
良かったのか、悪かったのか

ずっと待ってた。

恋も幾つか経験はしたけど
ずっと一人で。

儚い希望を胸に抱きしめて
生きてきた。

今でも

彼を愛しているんだから

まったく

哀れとしか言い様がないわね。

あれから40年あまり。

こんなに

永い時間が

必要だったのかしらと思う。

裏切られて

粉々に散らばった

心を

繋ぎ合わせるのに。

でももう

それもいい加減終わり。

いつまでも

残していった影に

縛られてちゃダメね。