自分の居場所。 美歌のラブ・ソング#1

美歌 22歳
スナックでアルバイト
好きな歌手:Adel

5つ上の兄をバイク事故で亡くしたのが
中学2年の時。

たった一人の
血のつながった家族を失くし

この広い世界を

たった一人で
生きていくのかと思うと

背中に強烈な孤独を感じた。

それからは
自分の居場所なんてどこにも無かった。

夜の街を友達とふらつき

その日暮らしの
いい加減なことをしては

バカ笑いをしていた。

ママと出会ったころの私は、
そんな感じで。

やりたいことも、
することもなくて、

ただただ、ふらふらと、
生きていたの。

優しいママは、
私のつまらない話も、

いつも笑って聞いてくれた。

おばあさんと孫くらい
年が離れているけど、

お姉さんができたみたいで
うれしかった。

ママのお店は小さいけれど
いつもお客さんでいっぱいで、

とても忙しいから

なんとなく
手伝うようになって5年。

今は、接客の合間に
好きなカラオケを歌って、
なんとなく楽しく過ごしている。

ある日歌っていると、
お客さんが泣き出した。

客:君が歌うと抑えていた気持ちが
あふれてきちゃって…

美:ただの歌だよ。あんたも歌ったら。

客:いや、君の声は特別だよ。