感謝

新しい自分。 望のラブ・ソング#4

望 41歳
インテリアデザイナー
好きな街:パリ


フリーで 仕事をするようになった私。

しばらくは ガムシャラに仕事をした。

それが楽しかった。

思いを 形にする。

そして、 喜んでもらう。

シンプルさが 心地よい。

そんな ある日のこと。

下腹部に 痛みを感じて、

あのころ通った 婦人科へ。

すこし足が重い、心が重い。

そんな私の 気持ちなんて

お構いなしに

自動ドアは 音もなく、すっーと開いた。

全然 変わらない院内に

重い記憶と 懐かしさを感じた。

いつもの 女医の先生をお願いした。

「先生はお亡くなりになりました。」

「え!」

過去の記憶が クルクルと蘇ってきた。

いつも 淡々と診察してくださった。

楽観的、 希望的観測で話すのではなく、

数字を冷静に判断し、

落ち着いた語り口で 励ましてくれた。

思い出す声は、

とても温かく、優しい。

あのころの私は、

気持ちが重く、暗く、

その愛を 感じることができなかった。

ひとりで

つらい思いをしていたと

心を 小さくしていたけれど

先生の

優しい 思いで包まれていたんだと

いまさら気がついた。

涙がこみあげ 胸がいっぱいになった。

「先生、有難うございました。」

辛かった自分の事も、

よく頑張った。

よくやったと。

今、初めて認めることができた。

今、本当に、

新しい自分に変わった。    

♪キミノココロノイエスハナニ?